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無線LANを登録ユーザー同士でを共有するプロジェクト「FON」を日本で展開するフォン・ジャパンが本格的に始動します。
専用ルータのネット販売が12月5日に開始され、九十九電機やエキサイトとも提携して、認知拡大とユーザー獲得に注力します。
このFONはスペインで始まったプロジェクトで、ユーザーは自宅の無線LANアクセスポイント(AP)を開放する代わりに、他のユーザーが開放したアクセスポイントを無料で利用できます。
フォン・ジャパンは、英国ロンドンにある FON WIRELESS の子会社で、デジタルガレージと協力して事業展開します。
FONを利用するユーザは以下の3タイプに分かれます。
(1) 自宅のAPを無料開放する代わりに他人のAPも無料で利用できる「Linus」
(2) 自宅のAPを有料開放し、他人のAPも有料で利用する「Bills」
(3) APは開放せず、他ユーザーのAPを有料で利用する「Aliens」
FONの今後の展開として、まずはLinusのみを募集し、2007年末までに都内を中心に7万5000登録を目指します。
そして、Linusとなってくれる住宅が少ない都心では、ISPなどと提携してAPを増やす計画のようです。
Aliensの募集は来年第1四半期にも始める予定のようで、接続料金は未定ですが、欧州では24時間あたり3ユーロで提供されています。
さらに、FONの認知を高めるため、エキサイトと提携し、都内や関東にある「エキサイト・ブロードバンド・カフェ」の26店舗にFON専用ルータを設置します。
また、都内在住のBB.Excite会員から3000人のモニターを募集し、ルータを無料で貸し出すなどプロモーションも展開する予定です。
Linus用の専用ルータの「La Fonera」はプラネックスコミュニケーションズ製で1980円(税込み)。
この専用ルータはSSIDを2種類の設定が可能で、プライベート用と開放用とで使い分けられるようになっていますが、お互いのネットワークを遮断してセキュリティを確保しています。また、帯域幅を制限する機能も備えています。
La Foneraは専用Webサイトと九十九電機で販売され、12月5日から9日まで専用サイトでは、1000台限定で無料提供されます。
現在、FONのAPは世界144カ国にあるり、登録者数は昨年11月の15000人から10倍以上に増え、合計約16万8000人に上ります。
FONは発祥の地スペインのユーザーが最も多く(2万3648人)、次がドイツ(2万2740人)、3位が韓国(1万8270人)で、8割のユーザーがLinusだと言います。
また、FONの主な収入源は、Aliensからの接続料収入と専用ルータの売上が中心で、国内では2007年の売上目標は年間でルータ販売による8000万円と、接続料収入による1000万円をあげる計画のようです。
さらにAP網が張り巡らされた後は、FONへのアクセスページに掲載する広告やアフィリエイト、課金コンテンツからの収入も見込まれています。
ISPとの提携では、接続料収入をシェアする計画で、FON創業者でCEOのマーティン・バーサフスキは「FONはISP業者のインフラにただ乗りしているわけではない。提携したISPは軒並みユーザーや収入を増やしている」と強調します。
FONにはSkypeやGoogleも出資しており、無線LANの普及によるビジネスチャンス拡大に期待を寄せている一方で、セキュリティの問題や、インフラただ乗りの問題も指摘されています。